フラワーエッセンスとアルケミーの関係について、2003年5月から2004年5月にかけて『ヒーラー&アルケミスト』に連載したディクテーション(チャネリング文)。長いので何回かに分けて掲載。
(「フラワーエッセンスとアルケミー 2」からの続き)
フラワーエッセンスと古典的なアルケミー(錬金術)について話しましょう。
あなた方の中にもすでに、現在フラワーエッセンス療法として「発見」され、発展しつつある療法の技術が、実際には新しい発見ではなく、古代に存在していた智恵の再発見であるということについてご存じの方もあると思います。
アロマセラピーや薬草学とともに、花と植物によって介在される様々な癒しの方法は、現在「有史以前」と分類される時代よりさらに遡って、人類の普遍的知識の一部でした。
当たり前であった知識が失われ、知識や智恵の伝承は分散して断片となり、そのもとの姿が読みとれなくなって忘れ去られるというのは、過去何万年にも及ぶ人類の歴史のいわば習いです。
そうしてこの何万年かの間に、人類の存在形態と意識の機能レベルが徐々に変化するにつれ、いったん忘れ去られ、あるいは分割されてしまった智恵や知識の体系を取り戻し、過去にあったそのままの形にまとめ直すことは、ますます難しくなっていきました。
最初にこれらの知識と智恵の体系が確立された時代は、人類の意識がおもにアストラル界を中心として機能しており、そのレベルにおいて植物のエネルギーを観察し、また植物と直接的に感情の交感を行い、その性質を知ることが可能であったからです。
しかし人類の意識の機能の中心がより物質に近く、知性のレベルに移行するにつれて、それより精妙なアストラルのレベルからの情報を直接的に得ることは次第に難しくなり、やがてそのような情報を得る能力を持つには、一部の家系を通して遺伝的に「才能」として受け継ぐか、幸い一部で温存されてきた伝統的知識の体系に基づいて、先達からの長い特別な訓練を経て能力を磨くことが必要になっていきました。
国や文化によっては、このような知識や能力を温存することが比較的容易な環境が存在していた場合もあります。西洋文化による支配が始まる前のアメリカもそうです。現在の地球上でも、このような環境が残されている地域が少数残っていますが、その多くは急速に失われつつあります。
そしてとりわけ、知性を発達させることをとりあえずの進化上の課題とした文明圏においては、めざましい知性の発達と反比例するように、この能力はきわめて短い期間の間に閉じられていきました。
いわゆる近代科学の発展期間を経て、西欧文化圏、そしてそれにつらなる近代化されたアジア文化圏などでは、それを完全に忘れ去ってしまって、過去の迷信や根拠のない言い伝えとしか考えない人の方が多くなっているほどです。
そして、それでは人類は、このかつてすべての人類によって共有されていた能力を再び、昔のような形で回復させるべきなのでしょうか。
それは、そうではないのです。人類が、このような能力を閉じて知性と左脳の機能を発達させる道のりを選んだことには意味があるのです。
それはつまり、感情と知性、右脳と左脳、第4チャクラと第3チャクラをいったん切り離し、知性、左脳、第3チャクラが一定レベルまで発達するのを待った上で、その上で改めて統合を行い、それまで存在していなかった意識の機能を発達させることが、その目的だからです。
ですから、過去の人々がもっていた能力をそのままに蘇らせようとする必要はありません。そうではなくて、これまで人類の意識の進化の中で成し遂げられてきたことを踏み台として、新しい形で、より広い世界とのつながりを、より意識的に開き直すことが必要なのです。
アルケミーの方法論はとても象徴的です。それはアルケミーの研究書を読まれた方なら、ご存じでしょう。そしてその象徴が何を意味するのかを読み解くことは、研究者ごとにまったく意見が異なっています。
それを文字通りに、物質世界のレベルに限って解釈したのが、中世においてアルケミー(錬金術)とは「鉛から金を生み出す術」と信じ、追い求めた人々です。それを完全に心象内の象徴と解釈したのが、精神分析医のユングとそれに続く研究者です。
けれどもこの術に本当に導き入れられた人たち、精神的アルケミーの実践者たちは、知っていました。記録に残された方法論は、象徴を外的になぞったものに過ぎず、単なる手がかりであって、その内部にそそぎ入れられるものこそが肝要なのであると。
しかし同時にまた、象徴的であるがゆえに、それは時代を超えて生き残り、新しい生、新しい段階に、限りなく応用し続けていくことができるのです。
アルケミーの書の方法論が、人間の魂の進化の方法論についてのメタファーであると考えて読んでみると、多くのことが得られます。
一つ一つのステップが「実際に、具体的に」何を意味しているかということよりも、そのようなステップが人間の魂の進化と変容の道のりにおいて何を象徴しているのかということを、思い浮かべながら読んでみるのです。
このようにして、古代の智恵と知識を、今現在の地球、今現在の人類の意識の進化の段階というコンテクストに当てはめて、もっとも適した形に生まれ変わらせること、それがあなたたちの仕事です。
そしてそのために必要な道具があります。それは、第一に人間としてのとぎすまされた意識です。第二に、肉体のレベルを超えてより広い世界へと感覚を広げ、コミュニケーションを行い、得たものを持ち帰り、自己に統合する能力です。第三に、それを物質世界の中の法則性によって整理し、そこで用いられるのに適した形に表現し、それを他の人々と共有することです。
別の言い方をすれば、いったん分割された世界を再度自己の内において統合し、そのことによって分割された外なる世界を統合する、そのような能力です。
フラワーエッセンス、あるいはエネルギーを用いたヒーリングといった仕事に惹かれて来る人たちは、エネルギーと物質という二つの世界を統合する、その作業にこそ惹かれて来るのです。
それは、いつの時代にもアルケミストたちによって理解されてきたように、目の前にある物質世界の中に、目に見えぬ宇宙の普遍的法則を読みとり、理解し、同時に目に見えぬ世界の中に、物質レベルの形と現象を可能にする鍵を探り当てる能力です。
このような作業のための準備を、人類は長い歴史を通して行ってきたのであって、物質世界とエネルギー世界の分離がもっとも進み、ある意味では物質世界の重さが底を打った、地球上におけるインヴォリューションの周期が底をついたのが20世紀であり、そうしてそこから人類は、再び統合への道のりを歩み始めつつある段階にあるということができるでしょう。
そしてそのための鍵は、自然の中に、そして自然を読み解く手引き書としてのアルケミーの方法論の中に、ちりばめられています。
ここではその方法論の中から、もっとも大切な一つを引くにとどめましょう。
「自然の法則を理解せんとする者は、自然の言語を読みとること、その色、香り、手触り、感覚を通して得られるすべての繊細な言語を読みとることを学べ。
一つの花の中に込められたすべての言葉を解読することを学ぶ者は、それと同じ法則が宇宙の中のすべての存在に生きていることを、体験を通して知る。
自然の言語は、人間の言葉を通しては学ぶことはできない。それは五感とそれを超える感覚を通して、魂と肉体にとっての生きた経験として学ばれねばならない。」

『Flower Medicine: Essence, Remedy, Healing』(Vol. 32)
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