フラワーエッセンス 花の育つ自然環境がエッセンスに与える影響 エッセンスは自分の住む国で作られたものを使うべき?

オオハンゴンソウ

 今回は花の育つ環境とフラワーエッセンスの個性について見てみます。

 特定のメーカーのフラワーエッセンスの個性について知るには、以下の2点を考えます。

 一つは、エッセンスの作り手が活動する地域の自然環境。つまりそのエッセンスが作られる植物は、どんな土地と気候で育っているか。

 もう一つは、作り手(メーカー)の理念や哲学、世界観です。エッセンスを作る人の「世界や人間を見る視点、自然や人間と関わる態度」と言ってもよいでしょう。

 まず、花の育つ自然環境について考えましょう。

 自然食の分野で言われる「身土不二」という言葉は一度は聞いたことがあると思います。これは「食べ物は、自分の住んでいる土地で作られたものを食べるのが一番健康にいい。自分の体を養うのに必要な栄養は、すべて自分が住む土地の食物から得られる」という考えです。

 薬草やハーブについてもこれが当てはまると考える治療家もいます。
 
 確かに伝統的には、薬草は自分の住んでいる土地や近隣の地域に生えているものを、自分や家族、あるいは近隣の療法家が採取したものを煎じるのが基本でした。

 食べ物にしても、自分の住む土地や気候とかけ離れた環境で作られたものを食べるのは、体の自然なリズムを崩します。例えば寒い日本の冬に、熱帯でとれるトロピカルフルーツを食べるなどです。そこまででなくても、温かい時期にとれる野菜や果物を温室で育てて冬に食べたりするのは、体のバランスにマイナスとされます。

 こういったことは、フラワーエッセンスにも当てはまるのでしょうか。

 野菜や穀物、薬草などは物質レベルの栄養素や薬効のある化学成分を含みます。

 それに対してフラワーエッセンスには物質レベルでの作用はなく、直接、人間や動物のエネルギーに働きかけます。野菜や薬草にももちろん、エネルギー面の作用もありますが、エッセンスの場合、作用は純粋にエネルギーのレベルで働きかけるのです。

 エッセンスの作用は、食べ物や薬草、エッセンシャルオイル(アロマセラピー用の精油)などに比べ、より汎的な性質を持ちます。 

 フラワーエッセンスの場合に重要なのは、そのエッセンスがどの国で作られたかよりも、その花のアーキタイプ(本質的性質)と自分の魂の間にどれだけぴったりとしたリソナンス(共鳴・共振)があるかです。

 世界のどの場所で作られたものでも、使う人の魂がその花の性質に呼応する要素を持っていれば、効果はあります。

 とくに汎用性の高いイギリスのバック(Bach、バッチ)レメディが世界中で広く使用されているのは、そのよい例です。バックのレメディは人間の感情経験における、非常に普遍的なテーマを扱っています。

 この原理を押さえた上で、特定の自然環境と、そこに育つ花から生成されるフラワーエッセンスの性質を見てみましょう。そこには、はっきりとした対応関係があります。それは、イギリス、アメリカ各地、アラスカやオーストラリアなど、異なる自然の中で育つ植物とその花の形や色、ジェスチャー、生え方などと、対応するフラワーエッセンスの個性を比べて見ると、よくわかります。

 比較的穏やかで安定した四季の巡りの中、自然が微妙な陰影に富むイギリスでは、花も地味なものが多く、そこから生成されるバック・レメディは、魂の陰影によく対応するパレットを持ち、とくに人間の基本的感情のテーマにとり組むのに優れています。 

 氷河と火山により形成されたシエラネヴァダ山脈では、気温の寒暖の差が激しく、自然はめりはりのある四季に恵まれています。そこで咲く花々は、色彩も鮮やかで、形やジェスチャーも実に多様で個性豊かです。そこで生まれたFESの北アメリカ・クィンテセンシャルのパレットは、火と水の極性を象徴するように、内的な創造性と変容の過程を強く刺激するものが多くあります。

 古代から生き残ってきた固有種の多いオーストラリアのエッセンスは、人間の本能や感情の本能的側面、また肉体に直接働きかけるエッセンスが多くあります。アラスカの厳しく激しい自然と、短い白夜の夏に咲く花から生まれるアラスカのエッセンスは、そのような浄化・変容作用を持ったものが多いのです。

 あるいは同じ種や属の花でも、イギリスやカリフォルニアで作られたものと、日本で作られたものの間には、性質やニュアンスに微妙な違いが見られることが、ルミニス・エセンティアのリサーチでわかり始めています。基本的なテーマは共通するのですが、その表現や経験のされ方に微妙なニュアンスの違いがあるのです。

 例えば、日本のオオハンゴンソウは、FESのブラックアイドスーザン(アラゲハンゴンソウ)と同属です。一般的に属の同じ花のエッセンスはよく似た性質をもっています(例 FESのヤロウとピンクヤロウ)。しかし日本のオオハンゴンソウから作ったエッセンスには、ブラックアイドスーザンの自我と影の関係を浮き彫りにするような強い作用はなく、むしろ霊性・魂と自我の穏やかな統合作用がありました。

 フラワーエッセンスは、エドワード・バック医師により近代的な形で世に出されてから70年近くになりますが、まだまだリサーチが必要とされる、成長途上の、そして大きな可能性を秘めたヒーリングの分野であるとも言えます。

『Flower Medicine: Essence, Remedy, Healing』(vol. 4)


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