胸の中心に位置する第4チャクラはとても興味深いチャクラだ。これはハート・チャクラとも呼ばれる。
英語の「Heart」は日本語の「心(しん)」と同じように、「心臓」「ハート」のほか、「中心」「ものごとの核心」といった意味もある。
このチャクラは、精神性・魂の働きを司る上位のチャクラ(第7、6、5チャクラ)と、物質レベルでの機能を司る下位のチャクラ(第1、2、3チャクラ)の中間に位置する。つまり精神と物質レベルの重なる領域であり、伝統的に「目に見えない世界への扉」であるともされる。
そして第4チャクラを入り口とする、エネルギーフィールド(オーラフィールド)の第4レベルは、すべての関係性、人間や動物やあらゆる生命との「関係」が経験されるレベルでもある。
今回は、エネルギーフィールドの第4レベル(アストラル・レベル)と人間関係、その周辺について、触れておこうと思う。(第4チャクラと肉体面からの解説については次の号で。)
オーラフィールドのレベルは、チャクラに対応する形で第1から第7レベルまであって、それぞれのレベルは、一定の周波数帯のエネルギーで構成される領域ないし「界」だ。
その中でも第4レベルは、伝統的にアストラル界(星気界)と呼ばれ、それ自体で一つの大きな世界を形成している。
いわゆる体外離脱(アストラル・プロジェクション)体験で旅をするのも、シャーマンたちがトランスに入り出かけて行くのも、古典的な魔術師たちが自然霊を呼び出して作業を行うのも、この世界。
多くの人は毎晩、少なくとも寝ている時間の一部を、体を抜け出し、アストラル体(古い言葉では幽体)として、この世界を旅したり、亡くなった人や、生きている人(同じように体を抜け出て来ている人)、また自分のスピリットガイドなどと会うことに使っている。
普通の夢とは違う、とてもあざやかで実感のある夢を見たり、夢の中で亡くなった人と話をして目を覚ます時、それはこの世界で実際に経験したことである可能性が高い。
この世界では、人の内面にある思考や感情が目に見える色や形として姿をとる。その「形」はしかし、とても流動的で、いとも簡単に姿を変える。我々の内的世界がそのまま外的な世界として存在しているので、それを作り出している人の内的状態が変化すると、ただちにまわりの環境も変化する。(または自分自身が気がつかないうちに違う領域に移動していることもある。)
またこの世界では、光は外から来るのではなく、ものや存在の内側から照らすように輝き出る。神智学や古典魔術の表現では、だからこの領域自体を「アストラル・ライト(アストラルの光)」とも呼ぶ。
アストラル界の中でも高い領域では、すべてのものが色あざやかで独特の輝きをもつ。低い領域に行くにつれて視野が薄暗くなり、底の方になると、ものの形もはっきり見えないくらいに暗い。
周波数の高い領域には、スピリットガイドや自然霊などがおり、周波数のずっと低い領域に降りていけば、いわゆる「煉獄」や「地獄」のような場所もある。ただしこれらも、そこに集まる魂の内的世界が反映されてできているのであって、「神」が人を罰するために作った領域などではない。
人間の内的世界(そのもっとも高い部分から低い部分まで)が、すべてそのまま外的世界として表現され、経験される場所。だからこの世界を「仕事場」とする古典的な魔術やシャーマニズムの訓練では、自己の恐れと向かい合い、ハートの力を強めることを徹底的に訓練する。
自分は視覚化が苦手と思っている人で、アストラル界がどんな感じなのかをヴィジュアル・イメージたっぷりに見てみたい人には、映画『奇跡の輝き』(原題『What Dreams May Come』)がお勧めだ。

人間関係とアストラル界
私たちの人間関係もエネルギーのレベルでは、すべてこのレベルで起き、経験される。
このレベルに意識の焦点を合わせると、自分とまわりの人との関係や、まわりの人たちどうしの関係の様相や質が、具体的な色やエネルギーの流れ(ストリーマー)、チャクラとチャクラを結ぶ絆(コード)などとして目に入ってくる。
関係の質はどんなものか。新しくて結ばれたての関係、安定した関係、あるいは古くてがちがちに固まってしまい、お互いを縛るような関係。一方的な関係、依存的な関係や中毒的な関係。対等でバランスのとれた関係、お互いのためにゆったりとした空間のある関係……。
どんな部分で結びついているか。ハートを開いて互いを大切に思う関係(互いのハート・チャクラをコードがつないでいる)、一方的な寄生関係(一方の第3チャクラからもう一方の第3チャクラにコードがつながり、エネルギーを吸う)、肉体・性的関係が中心になっている関係(互いの第1チャクラや第2チャクラが強くつながれているが、ハートやその他のチャクラの間につながりがない)……。
古典的な修業、あるいは現代なら心理療法などで自分自身の内面を浄化しながら、このレベルに意識的に感覚を開く訓練をしていくと、こういったことが、人と人の間に流れるエネルギーや、チャクラとチャクラの間に結ばれるコードとして、具体的に知覚されるようになってくる。
ただし、こういった知覚はつねに自分自身の内面の目というフィルターを通すわけなので、心理療法などを通して、フィルターに積もっている過去からのごみを掃除していくことが欠かせない。
なにしろ自分が外の世界に投影したものも、エネルギーである以上、形として知覚される。感情的な人や思い込みの強い人は、投影の力も強い。このレベルで自分の内面をまわりに投影しまくって、「あなたには○○が憑いている」とか、好き勝手言っている怪しい霊能力者やおせっかいな人たちはいっぱいいる。
そんなはた迷惑な「スピリチュアル・マッチ・ポンプ」にならないためにも、投影を減らすために内的な明晰さを作り出していくことが、他のレベルで知覚を広げていく場合以上にいっそう重要なのだ。
第4チャクラを通しての知覚は、第3チャクラの理性、良識、客観性とバランスされてこそ、また人間としての成長と進化の段階に統合されてこそ、実用性のあるものになる。
『エネルギーの海 スピリット通信』(vol. 20)
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